เข้าสู่ระบบヴァルトは疑問に思いつつ、レイラに視線を向けるとレイラは言葉を続けた。
「五階層の“中ボス”として……“マザーウィッチ”という魔物を配置してはどうでしょうか?」「マザーウィッチ……?」 聞き慣れない名に、俺は首を傾げる。「状態異常を得意としながら、攻撃魔法の適性も高く、さらに下位魔物の召喚までこなせる存在です。単体でも厄介ですが、持久戦において真価を発揮します」 ほう、万能型ってわけか。「それはいいな……バランス型の中ボスって、王道だけど堅い選択だし、召喚魔物の混乱を加えれば面白くなりそうだ」 俺が頷くと、ゼトスがぽんと前足を上げて発言権を取った。「であれば、そのマザーウィッチが活きるように、五階層の“部屋構成”も工夫すべきですな。例えば……森を模したフィールドなどはどうでしょう?」「森か……?」「はい。遮蔽物や視界の悪さは、魔力行使や状態異常を仕掛けるには好都合。さらに下位召喚魔物血の匂いが残るフロアに、クゼスの狂気じみた笑い声が響き渡る。「……あの小僧は死にましたか。惜しい駒でしたねぇ……しかし、どうでもいい。リルベア、あなたがここにいる――それだけで、私は満たされる」 狂気と陶酔が混じった瞳。 その視線に、リルベアが冷たく鼻で笑った。「満たされる? 笑わせるな。わらわはお主の所有物ではないぞ、クゼス」 挑発するように言い放ち、白銀の髪を払う。 その言葉にクゼスの表情が一変する。怒りと興奮がないまぜになった声が響く。「……なら、目を覚まさせてあげますよ。あなたが私の傍に立つのが当然だった、あの日々を――思い出させてあげましょう」 クゼスの剣が黒い光を帯び、空気が歪んだ。 ヴァルトはその殺気を正面から受け止め、剣を構え直す。「行くぞ。全員で叩き潰す!」 短い言葉で合図すると、美月が頷き、光の剣を構える。ゼトスが巨体を低くし、リルベアが魔力を練り上げた。 同時に踏み込む。 金属音と衝撃波が重なり、フロアが爆ぜる。 美月の光刃が閃き、リルベアの風刃が唸り、ゼトスの牙が火花を散らす。 しかし、クゼスは一歩も退かない。 むしろ楽しそうに、三人の攻撃を受け流していく。「ふふっ……いいですね。いい! もっと、もっと私を楽しませてください!」 剣が黒く伸び、床を抉る。 ゼトスが横から飛びかかり、氷牙を喰らいつかせようとした瞬間――。「ガハッ!」 クゼスの蹴りがゼトスの脇腹にめり込む。巨体が宙を舞い、結界の壁に叩きつけられた。「ゼトス!」 駆け寄ると、彼の銀灰の毛並みが赤く濡れていた。息も荒く、足元に血溜まりが広がる。「……まだ、戦えます……!」「いや、下がれ! それ以上は死ぬぞ! コアルームに戻って体勢を立て直せ!」 ゼトスは悔しそうに唸るが、ヴァルトの目を見て頷き、後方へと転移していった。
結界の内側――。 黒い魔力が渦を巻き、フロア全体が押し潰されるような圧迫感に満たされる。 クゼスは狂気じみた笑みを浮かべ、剣先をゆっくりとこちらに向けた。「さあ――楽しませてください、勇者さん」 言葉が終わるより早く、クゼスの姿が掻き消えた。 次の瞬間、耳を裂く金属音が響き、美月の前に火花が散る。「速いっ……!」 美月は咄嗟に受け流し、後ろに跳んだ。 しかしクゼスはさらに踏み込み、二撃、三撃と畳みかける。「グルルルルッ!」 ゼトスが割って入り、氷牙を顕現させてクゼスに噛み付こうとするが、剣の一閃で弾き飛ばされた。 巨体が床を転がり、結界の壁に叩きつけられ壁が衝撃に割れる。「ゼトスさん!」 美月が叫ぶ間もなく、クゼスの剣が再び迫る。 光の剣を横薙ぎに振り抜くと、強烈な閃光が走り、二人の間に空気の壁が生まれた。「……面白い。さすが勇者、ただの防戦一方ではないですね」 クゼスが口元を歪める。 美月は息を整え、剣を胸の前に構え直した。「あなたを倒すまで、私は絶対に退かない!」 剣が白く輝き、光が収束する。 彼女の靴先が石床を蹴った瞬間、視界が閃光に満たされた。「――光刃連舞!」 光の剣閃が連続してほとばしり、クゼスを中心に十字に交差する。 フロア全体が昼間のように明るく照らされ、石床が焼け焦げる。「ほう……!」 クゼスが笑い、剣を横に薙ぐと黒い魔力の波動が広がり、光刃を次々と打ち消した。 熱風と冷気が交錯し、床の破片が舞う。「グゥゥゥッ!」 ゼトスが立ち上がり、今度は氷塊がクゼスの足を拘束する。 その隙に美月が突っ込むが、クゼスは軽々と鎖を砕き応戦してくる。 美月の胸に焦りが走る。 その刹那、クゼスが一歩踏み込み、美月の剣を弾いた。 金属音が響き、彼女の
アキラの剣がぎらりと光を帯びる。 金属の刃が回廊の灯りを弾き、壁や床に赤黒い光を散らした。 張り詰めた空気の中、彼の瞳だけが狂気に燃えていた。「先輩は俺のものだ。絶対に、誰にも渡さない!」 その声は叫びというより、怨嗟と執着の混じった悲鳴に近かった。 こいつは俺を見ていない。リルベアも、世界すらも見ていない。 ただ自分の欲望だけを抱えて剣を握っている。 胸の奥に溜め込んでいたものが爆ぜる。 喉の奥から煮えたぎるような熱がこみ上げ、肺を焦がすほどの息を吐き出す。 握った剣が重く感じるのは、怒りのせいか、覚悟のせいか。「お前のいう善悪の定義に当てはめるなら――お前の方が悪だ」 自分でも驚くほど低い声だった。 冷気を帯びたような声音に、アキラが一瞬だけ目を細める。 けれど、止まらない。止まるつもりもない。「美月は自由を求めてるんだ。……邪魔すんじゃねぇ!」 叫びと同時に、足元で魔力が爆ぜた。 火花のように赤い光が散り、視界が一瞬で血の色に染まる。 石床を蹴った音が轟き、俺の身体が矢のように前へ飛んだ。 アキラも応じる。 獣のような速度で駆け、剣を振りかぶる。 刃と刃がぶつかる直前、アキラの唇が嗤った。「なら――殺してでも手に入れる!」 斬撃が走った。 空気が裂け、回廊の石床が派手に割れ、結界までもが震える。 魔力と魔力がぶつかり合い、火花が飛び散る。「ヴァルトッ!」 リルベアの声が鋭く飛んだ。 次の瞬間、彼女の魔力が爆ぜ、風の鎖がアキラの足元を絡め取った。 刹那、視界がスローモーションになる。「な――!」 アキラの動きが一瞬だけ止まった。 その隙を逃さず、俺は全ての力を込めて踏み込む。「――はああああああああっ!!」 剣閃が走った。 赤黒い軌跡が宙を裂き、血の匂いが先に鼻を
刃が交わり金属音が響き渡る。 俺の剣撃を弾き返すとアキラの剣が再び閃光を描く。 耳を裂く風切り音と共に、死線が空気を裂いた。「――ッ!」 紙一重で身をひねり、回避。 頬に熱い感覚が走る。血が一筋、地面に落ちた。「やっぱり、お前は危険だ。魔王ヴァルト」 アキラはそう言いながら睨み付けてくる。しかし、どこかおかしい。目が、焦点を結んでいない。 その視線の奥にあるのは、俺でもリルベアでもない――美月だ。「先輩は俺が守る。……いや、俺のものだ。絶対に誰にも渡さない」 剣を構えたまま、アキラは恍惚とした声でつぶやく。 その言葉に、思わず歯噛みした。「守る? 笑わせるな。お前のそれはただの執着だ」 低く吐き捨てると、アキラの笑みを浮かべる。「執着でもいい。愛ってのはそういうものでしょう?」 ゾッとするほど真っ直ぐな声だった。 次の瞬間、地面を蹴り、アキラが瞬間移動したかのような速度で迫る。「ヴァルト!」 リルベアの警告が飛ぶと同時に、俺は剣を横に払った。 火花と火花がぶつかり合い、衝撃が腕を痺れさせる。 ――速い。 剣速も、間合いの詰め方も、常人のそれじゃない。「くっ……!」 押し込まれそうになるが、その瞬間、リルベアの魔力が爆ぜた。 風刃が斜めに走り、アキラの背後から襲う。「っと……!」 アキラが跳び退く。 床が切り裂かれ、砂塵が舞い上がった。「ふふ……やるじゃないか。さすが“魔王”ってところかな?」 アキラが息一つ乱さず、剣をくるりと回す。 今の一撃を完全に見切られたわけじゃない――リルベアの狙いは当たっている。「行くぞ、リア!」「うむ!」 俺は剣を構え、リルベアと同時に駆ける。 風刃と斬撃の同時攻撃。互い
紫紺の光が爆ぜ、床に走った魔法陣が淡く輝きを収めると――そこに、二つの影が立っていた。 艶やかな白銀の髪を揺らすリルベアと、鋭い眼光を宿した巨狼ゼトス。 誰もが言葉を失い、ただその光景を見つめる。「……ッ!」 クゼスの表情が初めて歪んだ。 驚愕しながら声を漏らす。「……ああ、ようやく会えましたね。しかし、封印されているはずが、なぜ……」 低い声が、震えていた。 クゼスは一歩前に出ると、瞳に怒りの炎を宿す。「そうか……そういうことか。すぐ目を覚まさせてあげます、リルベア。あなたは我のものだ」 剣の柄を握るクゼスの手に力がこもる。 禍々しい魔力がフロア全体に広がり、石壁がバチバチと音を立てる。 闘志を燃やすクゼスとは裏腹に俺たちは正直、安堵していた。 ここにきて戦力が増えるのは、願ってもいないこと。 「ゼトス、リア……来てくれたんだな!」 思わず声が出た。 美月も息をつき、僅かに笑みを見せる。「助かります!」 巨体の狼は静かに鼻を鳴らし、俺と美月の前に立つ。 そして、その傍らに立つ、本気モードのリルベア。 その背に、心強さを感じた。「ふん、予想外すぎる増援ですね」 アキラが剣を肩に担ぎ、クゼスに視線を送る。「クゼスさん、さすがにこのままじゃこっちが不利です。分担しましょう」「……いいでしょう」 クゼスがゆっくりと剣を構え、口元に冷たい笑みを浮かべた。「雑魚など束になろうが関係ない。弱い方は貴様が持て。強い方は、私が面倒を見ます」 クゼスが言い終えるや否や、アキラの剣から凄まじい斬撃が飛んだ。 視界を裂く白刃の閃光。「ッ!」 咄嗟に俺と美月は左右に跳ぶ。 刃が床を抉り、爆風が砂塵を巻き上げる。 その直後、斬撃が通った軌跡に沿って光の
アキラと呼ばれた男の足音が階層に響く。 やたら派手な装飾のついた服をなびかせながら、乾いた靴音が一歩、また一歩と近づく。 そのたびに、フロア全体の空気が張り詰めていくのがわかった。 ここにいる全員が息を殺し、視線をその細身の影に注いでいる。 沈黙を破ったのは、美月だった。「……何をしてるんですか、アキラ」 冷え切った声だった。 剣を構えるよりも鋭いその視線が、まるで氷柱のようにアキラを射抜く。 空気がさらに重くなる。クゼスでさえ、面白そうに目を細めている。「知り合いか?」 俺が小声で問うと、美月はほんの一瞬だけ目を伏せ、吐き捨てるように答えた。「勇者仲間の後輩です。……そして、私のストーカーです」 ……ストーカー? おいおい、クゼスに続いてコイツもかよ。どいつもこいつもストーカーじゃねーか! 思わず心の中でツッコんだその時、アキラが肩を竦め、にやりと笑った。「ストーカーだなんて酷い言い方するなぁ。ただ先輩が好きな後輩ですよ」 軽口を叩くその声音は、どこか愉快そうだった。 だが美月の表情は一切揺れず、冷たく告げる。「妹さんから聞きましたが、あなた……私の写真を部屋中に貼ってるらしいですね」 その一言に、場の空気が一瞬で凍りついた。 クゼスの口元がわずかに引きつり、俺も何も言えなくなる。「……っ、そんなことより!」 アキラはわざとらしく咳払いして話題を切り替えた。「先輩、魔王と手を組むなど冒険者組合の規約違反ですよ」 あ、話そらした。 俺は心の中で呟きながら、アキラの表情を睨む。「貴方がそれを言いますか。よりによって、魔王クゼスと……。世界でも滅ぼす気ですか?」 美月の声が鋭く響く。 アキラは肩をすくめ、あっけらかんとした笑みを浮かべた。「あり
画面の奥には、俺の“ダンジョン”の全体図が浮かび上がっていた。 その地図を眺めながら、俺は腕――いや、正確には核だから腕はないけど――まぁそういう感じで考え込む。 やるなら、徹底的にやってやろうじゃねぇか。「まずは階層を増やす。これだけ侵入者が増えてるなら、ワンフロアで収まるわけがないしな」 そう呟きながら、構築開始。 今ある空間の下層に、新たな階層を次々と追加していく。 しかも、ただの迷路じゃ芸がない。 ニ層目は錯視を利用した視覚トラップ中心の構造。
……眩しい。 まぶたの裏に差し込んできた柔らかな光に、ゆっくりと意識が引き戻されていく。 なんだろう、この感覚……眠っていた? 俺が? まるで数日間、何もかもを忘れて眠っていたかのような――。「……ぐぅ、すぅ……むにゃ……」 ふと耳に届いた微かな寝息に目を開けると、視界の端に見慣れた金色の髪が映った。 空間の片隅。石造りの壁際に座り込んでいるのは、我が眷属・レイラだった。 相変わらずの無表情……って、寝てる!? 驚きつつも、その寝顔が
ダンジョンの最深部――俺、ヴァルト・ノクスの“核”が鎮座するこの空間は、相変わらず静かだ。 目の前に立つのは、相変わらず無表情で毒舌な美女、眷属のレイラ。 静寂を破ったのは、そんな彼女の淡々とした一言だった。「……それにしても、あの冒険者、思った以上に弱かったですね。反応も遅いし、攻撃も単調で」 いやいや、普通に強かったと思うんだけど? 俺の罠とゴブリンくんたちなんか“秒殺”されてたぞ。 「弱くはないと思うんだけどなぁ。ほら、召喚したゴブリンくんたち瞬殺されちゃったし」
レイラがずんずんと通路の奥へ進んでいく。その背中を、俺は観察用のモニター越しに見送っていた。 世界の声の案内でダンジョンの監視用インターフェースを開き、ようやく慣れ始めたウィンドウ操作をこなしながら、ふと気づく。 ……ていうか、俺が最初に設置した罠とかゴブリンたち、あれ全然意味なかったんじゃ? その疑念はすぐに現実になる。 最初の侵入者――黒髪の冒険者が現れ、俺が丁寧に配置した罠を、まるで散歩でもするように突破していったのだ。 落とし穴はひょいと飛び越え、毒針は携えた小型盾で難なく弾







